Camecon Magazine

撮影テクニック 2023.01.04

スローシャッターを楽しむ!NDフィルターの基礎と使い方徹底解説

スローシャッターの扱い方が苦手。 思うような表現ができない。 そんな時はNDフィルターの出番です。 海や空、川、花火など、特に風景撮影で活躍する便利アイテム。 表現の幅がぐっと広がるNDフィルターを、初心者向けに基礎から使い方までを徹底解説します。

NDフィルターの基礎を知る

NDフィルターの特徴は?

NDフィルターはレンズからの光量を減らす目的で使われ、減光フィルターとも呼ばれます。

シャッタースピード(以下SS)を遅くしたい撮影シーンで、NDフィルターを使うと以下のような効果があります。


・意図的なブレを表現→滝や渓流などで動きのある表現ができる

・露出オーバー(白飛び)を防ぐ→明るい部分だけ白飛びしてしまう時に使える

・f値を下げられる→ボケ感のためにf値を下げると明るすぎる場合に使える


写真の明るさは、f値、ISO、SSが関わって決まるので、NDフィルターを使うなら関係を復習しておくのがおすすめです。

簡単に言ってしまうと「明るすぎて困るとき」「動く被写体の表現にこだわりたいとき」に使う傾向が多いです。

ではNDフィルターが活躍するのは、どんなシーンでどんな風に撮れるのか。

作例と共に見ていきましょう。

おすすめのシーンと作例紹介

NDフィルターを使うのにおすすめするシーンを5つ紹介します。

①滝・渓流・噴水

一番イメージが湧きやすいのが、動く液体の撮影です。

SSが速いと水滴は止まったように写ります。

逆にSSを遅くすると、水の連続した動きが表現されていますね。

単にSSを遅くするだけでは明るい部分が白飛びするので、NDフィルターを使って光量をコントロールしています。


②空(雲)・海・湖

動きの少ない、空や海・湖の水面は、スローシャッターで撮ると滑らかでダイナミックな表現になります。

40〜60秒程度じっくり時間をかけて撮影すると、迫力のある写真に仕上がります。

開けた場所での風景撮影などにおすすめです。


③花火・光の軌跡

こちらもスローシャッターの代表格「花火・光の軌跡」です。

SSが短いとほんの一瞬しか映らず、光の点になってしまいます。

花火が開く直前から最大に開いた所までシャッターを開きっぱなしで撮ると、美しい光のラインが写るわけです。

花火以外にも車のライトや飛行機など、動きのある光にはNDフィルターが活躍します。


④流し撮り

乗り物の撮影で使われる「流し撮り」は、被写体の背景をわざとぶらすことで、スピード感を表現する技術です。

被写体にピントを合わせ続けながら、移動と共にカメラを動かします。

1/10〜1/30程度のSSなので花火よりは短いですが、NDフィルターを使うことでコントロールしやすくなります。


⑤街の雑踏

人通りの多い場所でスローシャッターを使うと、建物や電柱以外の動くものはぶれます。

それによって人の動きを表現したり、街の雰囲気が伝わる写真が撮れます。


効果的なNDフィルターの使い方と注意点

NDフィルター自体の使い方はとても簡単です。

レンズに装着して撮影する、それだけです。

(後に説明する可変NDフィルターの場合は調節が必要)

撮影時に注意してほしいのは以下の3点です。

①必ず三脚を使う

スローシャッターなので手持ちでは意図しないブレが発生します。

しっかりカメラが固定できる三脚を使いましょう。

②撮影モードは「M」か「A/Av」、ISOは最低値

Autoモードでは思ったような設定になりません。

ISO感度は一番低い値にします。

③NDフィルター装着前にピント確認

暗いシーン又は濃いNDフィルターの場合、うまくピントが合わないことがあります。

事前にピントを確認してからフィルターを装着しましょう。

初めてのNDフィルター・失敗しない選び方

NDフィルターを購入するとき、失敗しないために次の点に注意して選びましょう。

必須なのは「フィルターサイズ」と「フィルターの濃さ」の2点です。

フィルターサイズ

フィルターサイズは他のフィルターと同じく、使うレンズの直径に合うものを選びます。

「〇〇mm、Φ◯◯」のように表示されていますよ。

フィルターの濃さ

NDフィルターの特徴は「フィルターの濃さ」。

「ND16」のように数字で表され、数字が大きいほど濃く、減光する効果が高いフィルターです。

ND2から始まり、ND4、ND8、ND16……と倍数で増えます。

フィルターなしの光量を1とすると、ND2では1/2、ND4では1/4……とどんどん暗くなるわけです。

では何を基準にこの数値を選べばいいのでしょうか?

それは被写体や環境によります!

…と言われても困りますよね。

初NDフィルターにおすすめしたいのは「ND8」か「ND16」あたりの使いやすい種類。

迷った時は少し暗めを買ってもOKです。

このどちらかから始めてみて、慣れてきたら濃さを調整するのがおすすめです。

しかもNDフィルターって実は重ねて使えるんです。

ND8とND16を重ねると8×16=128で、ND128と同等の効果が出ます。

複数買いたくない!状況に合わせて何枚も持ち歩くのは嫌!という方には「可変NDフィルター」がおすすめ。

なんと1枚のフィルターで濃さを調整しながら使える便利アイテム!

「ND8-ND128」のように表記されます。

ややお値段は高くなりますが、荷物も減るので愛用するカメラマンも多いです。

スローシャッターの魅力にハマってみる?

スローシャッター撮影とNDフィルターの関係性が伝わったでしょうか?

様々なシーンで活躍するので、これまでと違った表現がしてみたい方にはとってもおすすめです。

ND番号やシャッタースピードの考え方など。

最初はちょっと難しく思うかもしれませんが、それ以上の効果が必ずあります。

他のフィルターも気になる!という方は「PLフィルター」「その他のフィルター」の記事も、ぜひご覧ください!

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